はらたけ三重奏

名古屋を中心に活動するポップスインストバンド『はらたけ三重奏』のブログです

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小説 『けんのん時々無鉄砲』


まだ木の香りが新しい
あれは5歳の夏だった。
朧げに記憶しているのは
新築の家に不相応な荒れた庭
蛍の棲む小川
幼稚園の鼓笛隊。

そうだ。
鍵盤ハーモニカとの出会いは鼓笛隊だった。

何せ引っ越したばかりで初めての事ばかり。
全く吹けずけんのんな日々を過ごした。
そこへ先生
“吹けない子はずっとドを吹きなさい”
その言葉で僕は救われたのだ。

次の瞬間。
ド ド ド ド・・・

なーんだ。
みんなも吹けないんだ。
自信に満ち溢れた“ド”が其処彼処に蔓延る。

しかしそれも束の間。
“ドだけ吹く子は控えめに吹きなさい”

こうして
公然たるごまかしが許されざるものだという事を
知ったのである。



時は過ぎ
桜の花びら舞い散る
33歳春の日。
長い時を経て、再び出会った。

バンドをやらないかと
かつて歴史に残る大舞台を共にした戦友を誘ったものの
長きに渡る怠惰によりサックスの音が出せない。

そこで一時的な代用として持ち出したのが
鍵盤ハーモニカである。
何の因果か
またもや公然たるごまかしによって
再会を果たしたのである。

使ってみるとこれが面白い。
研究が始まった。


つづく。

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